こんにちは、クラウドシフト管理「らくしふ」シフト管理ラボ編集部です。
「アルバイトのシフト作成に悩んでいる」「法令違反が怖いけど何を見ればいいかわからない」──そんなサービス業の店長・責任者の方に向けて、本記事ではシフト管理の基本と36協定の正しい対応方法をわかりやすく解説します。
特に、以下のような店舗・業態では、シフトが複雑化しやすく36協定との関係が深くなります。
- 飲食業(居酒屋、ファストフード、カフェなど):閉店作業や繁忙期の連勤、深夜営業での長時間労働が常態化しやすい。
- 小売業(スーパー、アパレル、ドラッグストアなど):セール準備や棚卸しによる時間外労働、イベント時の休日出勤が発生しやすい。
- サービス業(アミューズメント、テーマパーク、イベントスタッフなど):繁忙期にフルタイムでの連続勤務になりやすく、週40時間を超えがち。
日々のシフト作成時に「つい」「いつも通り」で組んでしまいがちなパターンこそ、今一度、法令に照らしてチェックしておくことが大切です。
36協定が必要になるのは、「1日8時間」「1週40時間」を超えて働くケースです。たとえば、以下のような状況では36協定が必要となります。
- ランチとディナーのピークをカバーするために朝から晩まで通し勤務となり、1日9〜10時間の勤務が週に何度も発生している飲食店。
- スーパーで棚卸や売り場改装が夜間に組まれており、深夜勤務と通常勤務が混在して週40時間を超えているケース。
- 夏休みシーズンにテーマパークで働く学生アルバイトが、1日8時間以上を連日続け、結果的に週50時間近く働いている。
- 年末年始のセール対応で、アパレルスタッフに連勤と休日出勤を依頼し、週の総労働時間が40時間を超えてしまった。
- 地域のイベント出店や催事準備で、パート・アルバイトに残業(時間外勤務)や休日出勤を頼まざるを得ず、法定労働時間の上限を超えている。
これらは多くの店舗で「あるある」な状況ですが、36協定がない状態でこれを行うと法令違反になる可能性があります。
「学生アルバイトだから」「本人が希望しているから」といった事情も、法的には関係ありません。希望シフト制を採用している場合でも、オーバーワークになっていれば、36協定を交わしていなければ違法です。
まずは、自店舗のスタッフ(パート・アルバイト含む)が「法定労働時間(1日8時間、週40時間)」を超えて働いている可能性があるかを見直してみましょう。
・繁忙期になると週40時間を超えるシフトが組まれていないか?
・棚卸や閉店作業で、気づかぬうちに1日8時間を超えていないか?
・休日出勤や深夜帯の勤務をお願いする場面があるか?
これらが「当たり前」になっている場合、36協定の届け出が必要になる可能性が高いです。
36協定は、本部や労務部と労働者代表の間で正式に締結されるものです。店長は、現場からの情報提供と協力者の選出などを担うことが多いです。
- 本部が協定書の雛形を用意し、勤務実態をヒアリングします。
- 労働者代表(パート・アルバイト含む)を、過半数代表制に基づいて選出します。
- 労働者代表と内容を確認し、署名・押印を行います。
- 署名済の協定書をもとに、本部が労働基準監督署へ届け出を行います(書面または電子申請)。
届け出た36協定は、スタッフがきちんと認識できるようにわかりやすく周知することも義務の一つです。店舗掲示板に掲示したり、シフト共有ツールに一文添えるなどして、労働条件がどう定められているかを、スタッフ自身が確認できる状態を保ちましょう。
飲食・小売・サービス業の現場では、日々の業務に追われるなかで、「知らず知らずのうちに法令違反に近い状態になっていた」というケースも少なくありません。特に、繁忙期や人手不足のタイミングでは、シフト作成時の注意が行き届かなくなることもあります。
そんなときこそ、店長として定期的に確認しておきたい基本のポイントがあります。以下のチェックリストは、シフト作成・調整のタイミングや月次業務の合間に確認することで、法令遵守とスタッフの働きやすさを両立するための土台となります。ぜひ、店舗運営の「安心チェック」として活用してください。
チェック項目 |
実施すべきこと |
残業(時間外労働)の有無を把握しているか? |
シフト実績を確認し、法定労働時間を超えた勤務がないかを常にチェックする。たとえば、飲食店の通し勤務、小売店の棚卸対応、サービス業の連日イベント出勤など、繁忙時に発生しがちな働きすぎを意識して確認。 |
労働者代表の選出に関与したか? |
候補者の推薦や投票を通じて、適正に代表を選び、スタッフの合意があることを確認。小規模な現場では、勤務歴が長いアルバイトやリーダー格のスタッフが適任になることが多い。 |
協定内容をスタッフに周知しているか? |
店内掲示やLINEメッセージ、シフト共有ツールなどを活用して、協定の内容を伝える。たとえば、「週40時間を超える勤務には注意が必要です」などの要点をA4サイズで掲示するなど、伝え方も工夫する。 |
シフト作成時に法定上限を意識しているか? |
アナログ管理では見落としやすいため、週40時間・1日8時間の上限に対するアラート付きのシフト管理システムを導入し、事前に勤務時間の過不足を把握できるようにする。 |
「36協定」は“提出し忘れても特に困らない書類”ではありません。とくに残業(時間外労働)が日常的に発生している現場では、協定なしに働かせてしまうと、知らぬ間に労働基準法違反となるリスクがあります。ここでは、締結を怠ることで起こりうるリスクについて具体的に見ていきましょう。
36協定を締結せずに残業や休日出勤といった時間外労働をさせた場合、労働基準法第32条違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
〈具体例〉
飲食店で年末の繁忙期に、アルバイトが連日10時間勤務・週6日稼働していたケース。本人の希望とはいえ、36協定の届け出がなければ、違反と見なされる可能性があります。
労働基準監督署の是正勧告や立ち入り調査を受けた場合、改善報告の提出義務が発生します。悪質と判断された場合には、店舗名や企業名が公表されることもあります。
〈具体例〉
テーマパーク運営会社が、学生アルバイトに連続勤務を強いたことで炎上。SNSやメディアで拡散され、「ブラックバイト」のレッテルが貼られ、採用活動や店舗ブランディングに深刻な影響が及びました。
「希望通りに休めない」「勤務が偏っている」といった不公平感が蓄積すると、スタッフ間の信頼や職場への愛着が失われます。
〈具体例〉
サービス業の現場では「急な欠勤が多い」「新人が定着しない」といった問題が、実は無理なシフト設計や勤務過多が原因であるケースもあります。結果として、離職率の上昇や教育コストの増大につながり、職場の安定性が損なわれます。
適切なシフト設計は、スタッフの働きやすさを守ると同時に、法令違反のリスクを減らすためにも欠かせません。ここでは、店長として押さえておきたい具体的な管理ポイントを整理します。
法定労働時間は原則として「1日8時間・週40時間」です。これを超える勤務をさせる場合は、あらかじめ36協定を結んでおく必要があります。
特に以下の点を意識しましょう:
- シフト作成の段階で、週40時間以内に収まるように調整する。連勤や“通し勤務”が多くなると超過しやすくなるため、個別に確認を。
- 時間外勤務がどうしても必要な場合は、36協定で定めた上限内で設計する。協定で定めた月間・年間の上限時間にも注意が必要です。
- 22時以降の深夜勤務や、法定休日の勤務が続く場合には、スタッフの健康やモチベーション維持も考慮したシフト調整を行いましょう。
スタッフが安心して働き続けるためには、適切な休憩と休日の確保も重要です。
- 1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を取らせることが法律で定められています。
- 繁忙期であっても、週に1回以上の休日(法定休日)は確実に確保するようにしましょう。休日の振替や代休についても、事前の合意と管理が求められます。
特定の属性を持つスタッフには、さらに注意すべき労働条件があります。
- 18歳未満のスタッフ(年少者)は原則22時以降の勤務が禁止されています。高校生のアルバイトなどが対象になるため、特に注意が必要です。
- 外国人スタッフの場合は、在留資格に応じて働ける時間や業務内容に制限があります。例えば「留学」ビザを持つ学生の場合、原則として週28時間以内という上限があります。
法令に反して働かせてしまうと、企業側が処分を受けるだけでなく、本人の在留資格にも悪影響が出てしまう可能性があります。そのほかにも、アルバイトのシフト管理における見落としがちな“法令リスク”は潜んでいます。
紙やExcelでのシフト管理は、見落とし・手計算ミス・属人化が発生しやすく、法令違反リスクも増大します。特に、従業員ごとの累計勤務時間や深夜・休日勤務の集計を手作業で行っていると、どうしても確認漏れが生じやすくなります。また、担当者によって管理の精度や運用ルールが変わってしまう「属人化」も大きな課題です。その結果、意図せず労基法違反の状態を招いてしまう恐れがあります。
クラウドシフト管理「らくしふ」では、こうした課題に対して、以下のような機能で飲食業・小売業・サービス業の現場をサポートします。
Q1. アルバイトに残業させてもいいの?
原則として、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える勤務をさせるには、36協定の締結と届出が必要です。協定なしに残業をさせると、労働基準法違反となる可能性があります。
Q2. 「本人が希望した残業」でも36協定は必要ですか?
はい、必要です。本人の希望や合意があっても、法定時間を超える勤務には36協定の締結が必須です。希望制シフトでも、法律上の義務は免れません。
Q3. 学生アルバイトや高校生にも36協定は関係ありますか?
はい、あります。18歳未満の年少者は深夜勤務が制限されており、さらに労働時間の上限や休憩取得義務も一般労働者と同様に適用されます。シフト設計時に特に注意が必要です。
Q4. 36協定を結んだかどうかは、どう確認できますか?
店舗の労務担当者や本部に確認するほか、店舗内で協定書が掲示されているかをチェックしてください。従業員が自由に確認できる状態での掲示が義務付けられています。
36協定は「守るための義務」であり、スタッフを守り店舗の信頼を高めるルールです。
人手不足のなかで店舗を回すには、「安全性」と「効率性」の両立が不可欠です。店長自らがその仕組みを効率的に設計・運用していくことが、採用力や定着率の向上、ひいては経営の安定につながります。
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