こんにちは。らくしふシフト管理ラボ編集部です。
はじめに|「DX反対」が現場から起こる理由とは?
人手不足、働き方の多様化、法令対応の複雑化──。シフト管理の現場は今、大きな転換期を迎えています。こうした課題を背景に、クラウド型のシフト管理システムを導入する企業が増えていますが、スムーズに進まないケースも少なくありません。
「うちは今のやり方で十分だから…」
「店長がツール操作に慣れてなくて…」
「LINEはプライベート用だから業務に使いたくない」
これは、実際にDXを推進しようとした企業が、現場責任者から受けたリアルな反応の一部です。特に、チェーン展開を進める中堅企業では、「あの店だけ反対」という声が導入の足かせになることもしばしば。では、なぜ店舗ごとにDXへの反応が分かれ、現場の理解を得るのが難しいのでしょうか? 本記事では、クラウドシフト管理システム「らくしふ」の導入事例をもとに、現場の納得を得ながらDXを成功させる方法を解説します。
目次
第2章|現場を巻き込む3つのコツ──属人化・現状維持バイアスを乗り越えるには
第3章|「これなら現場でも使える」──ツール選びと導入支援の工夫
第1章|よくある「現場からの反対」とその背景
シフト管理のDX推進では、現場責任者やスタッフから「導入反対」の声が上がることは珍しくありません。特に、紙やExcelでのシフト管理が長年続いてきた店舗では、「現状で十分」「新システムは負担」「LINE連携は抵抗がある」といった理由でクラウド型シフト管理システムの導入が進まないケースが多く見られます。
こうした反対の背景には、人材不足や働き方改革、労務管理・法令対応の複雑化など、サービス業・小売業・飲食業に共通する構造課題があります。本章では、現場の反発が起きやすい理由と、属人化を解消するための視点を整理します。
よくある反対のパターン
- 「今のやり方で問題ない」
現場では「なんとか回っている」という認識が強く、改善の必要性が感じられにくい。表面化していない課題(作業時間、属人化、ミスなど)が見過ごされがち。 - 「ツールを覚えるのが面倒/現場の負担が増える」
新しい仕組みによる操作習得や変更対応への不安。特にITリテラシーにばらつきがある組織では、導入に対する心理的ハードルが高くなりやすい。 - 「LINEはプライベート用だから業務で使いたくない」
個人ツールとの線引きを気にするスタッフの声。とくに若年層やベテラン層で分かれる傾向あり。
こうした声の裏には、「変化に対する不安」や「業務負荷が増えることへの懸念」が潜んでいます。特に多店舗展開を行う中堅規模以上の企業では、店舗ごとの裁量や慣習が強く、属人化解消の必要性や現場負担軽減といった導入メリットが十分に共有されないまま、“現場に任せきり”の文化が反対意見を生みやすくしています。
第2章|現場を巻き込む3つのコツ──属人化・現状維持バイアスを乗り越えるには
シフト管理DX(クラウドサービスの活用)は、単なる業務効率化にとどまらず、属人化解消や労務管理・法令対応の精度向上、現場負担軽減など、多店舗経営における大きな導入メリットをもたらします。一方で、ITリテラシーの差や初期運用の負荷といった導入デメリットも存在し、特に人材不足や働き方改革への対応に追われる現場では、慎重な判断になりやすい傾向があります。
クロスビットが2025年に実施した「シフト管理に関する実態調査(全国1,242社)」によると、外部のシフト管理ツールを導入していない企業のうち最も多かった理由は「費用が高い」(37.0%)。次いで「現在のやり方で十分」(34.4%)、「導入や運用の手間がかかりそう」(27.2%)という回答が続きました。
この結果から見えてくるのは、新しいツールによる負担を過大評価し、現状にとどまることを選ぶ「現状維持バイアス」の強さです。特に中小企業では「現在のやり方で十分」と答えた割合が約4割にのぼり、ツールの価値そのものが届いていない状況がうかがえます。
では、こうした「現場の壁」をどのように乗り越えていけばいいのでしょうか。ここからは、実際に「らくしふ」を導入し、現場を巻き込みながらスムーズに運用を進めたスーパーモリナガ様とタカハシ様の事例を交え、効果的なアプローチを3つの視点から紹介します。
コツ①:数字で語る──シフト管理DXで「どれだけ楽になるか」を定量的に示す
最も強力な説得材料は、具体的な工数削減効果です。
佐賀・福岡エリアでスーパーマーケットを展開するスーパーモリナガ様(小売業)では、11店舗で長年、紙とExcelによるシフト管理を行っており、作成には最大30時間/月を費やしていました。クラウドシフト管理システム「らくしふ」を導入後は、LINE連携による希望提出や自動リマインド機能を活用し、最短2時間まで短縮された例もあります。
また、北海道を中心にカラオケチェーンを展開するタカハシ様では、約60店舗・1,000人以上のスタッフを管理する中で、月20時間かかっていたシフト作成時間が約半分に。そのぶん空いた時間は、新人育成やスタッフとの対話に充てられるようになったといいます。単なる業務効率ではなく、店舗全体の「空気」が変わる──現場にとって、この違いは非常に大きな意味を持ちます。
コツ②:スモールスタートで納得感を生む
いきなり全店導入ではなく、一部店舗からの段階導入を選んだのも共通点です。スーパーモリナガ様では、まず2店舗から導入をスタートし、現場の反応や業務の変化を見ながら、適用範囲を慎重に広げていきました。「紙でも回っていた」現場が、実際に使ってみて便利さを実感したことで、他店舗への波及もスムーズになったといいます。2025年8月現在では、11店舗170名で利用が進んでいます。
タカハシ様も同様に、最初は5店舗で試験導入を実施。その後、スタッフの操作習熟や業務への影響を確認しながら、2025年5月時点で全57店舗へ段階展開しました。これは「本部主導」ではなく、「現場納得型」で進めるDXの理想的な形といえるでしょう。
コツ③:成功体験を可視化し、他店へ広げる
導入がうまくいった店舗の定量成果と現場の声を可視化し、横展開することも重要です。スーパーモリナガ様では、LINEでの希望提出や自動リマインド機能を活用することで、提出モレや遅延が激減。導入により属人化が解消され、シフト作成担当者の心理的負担も大きく軽減されました。また、公平で透明性のある運用により、現場の納得感も向上しています。
タカハシ様では、スタッフが自身のスマホから希望提出・確認ができる環境が整い、メモ機能で一人ひとりに合わせた連絡も可能になったといいます。こうした成功体験は、“あの店がうまくいってるなら…”という説得材料になります。
現場の「納得」が、DX推進の起爆剤になる
DXを進める上で、システムや機能の優秀さ以上に大切なのは、「納得してもらえるかどうか」です。数字で伝え、不安を実感で乗り越えてもらい、成果を共有して広げる──この3つのステップこそが、現場の反対を味方に変える鍵です。
第3章|「これなら現場でも使える」──ツール選びと導入支援の工夫
店舗責任者やスタッフに新たなクラウド型シフト管理システムを浸透させるには、「誰でも扱えるUIによるITリテラシー差の吸収」「現場の心理的負担を抑える現場負担軽減設計」「成果の定量・定性評価による納得感の醸成」がそろって初めて機能します。こうした仕組み化は、多店舗展開企業が直面する属人化や労務管理の課題を根本的に解消し、DXを導入メリットとして定着させるための基盤となります。
1. 誰でも迷わず使える「直感的な設計」が、初動のカギ
多店舗展開企業では、店長やシフト担当者の年齢層もバックグラウンドもさまざまです。パソコンに慣れている人もいれば、スマホでしか業務をしていない人もいる。だからこそ、ツール導入にあたっては「誰でも直感的に操作できる設計」が不可欠です。
クラウドシフト管理「らくしふ」は、LINEやスマートフォンとの親和性が高く、ツールそのものを意識させないUI/UX設計が特徴です。専用アプリのダウンロードは不要で、スタッフは普段のLINE上でシフトの希望提出や確認、メモのやりとりが可能。管理者側も、ボタン操作と直感的な画面遷移でシフトの作成・修正・確定ができるため、「システムに不慣れな店長でも使いこなせる」という安心感があります。
こうした使いやすさは、現場導入の心理的ハードルを下げるだけでなく、「操作を教える時間」や「使い間違いによる問い合わせ対応」など、二次的な手間の削減にもつながります。
2. スタート時に「安心感」を提供できる導入支援体制が重要
スーパーモリナガ様のように、属人化が強く残る環境でツールを導入する場合は、運用フローの再設計や段階的なサポートが重要です。
同社では、初期導入時に本部と現場の間に専任の導入支援チームを配置。設定の代行や機能レクチャーに加え、紙での管理からどのようにクラウドへ移行するのかを丁寧に可視化し、1人ではないという安心感を現場に届ける体制を構築しました。
一方で、タカハシ様はスタッフ数が多く、業務の属人化を少しずつほぐしていく必要がありました。そこで、初期段階では店長がいなくても使える簡易マニュアルを整備し、紙や動画による使い方解説を提供。さらに、導入初期にサポート担当が各店舗を訪問し、操作に不安があるスタッフにもマンツーマンでフォローする体制を整えました。
このように、導入設計の段階で「どんな支援があるのか」を明確にしておくことで、現場の心理的な抵抗感は大きく軽減されます。
3. 「成果が見える」からこそ、現場は前向きになる
導入を成功させる最大のポイントは、「使った結果、ちゃんと成果が出た」と現場が実感できることです。そのためには、ツールによる変化を定量・定性の両面から見える化する仕組みが欠かせません。
たとえば、次のようなKPIは非常に効果的です。
指標例 |
変化前 |
変化後 |
シフト作成時間(月あたり) |
30時間 |
2時間(スーパーモリナガ) |
希望提出率 |
60% |
95%(LINE提出により) |
提出期限厳守率 |
不明 |
90%以上(自動リマインド機能) |
作成工数の主担当依存率 |
店長100% |
店長+副責任者で分担(タカハシ) |
これらの数値に加えて、「希望が反映されやすくなって不満が減った」「コミュニケーションが増えてシフトの相談がしやすくなった」などの現場の声を拾うことで、成果が実感として広がります。特に中堅企業では、こうした成果を本部レポートや社内ポータル、店長会議などで他店舗にも共有する仕組みをつくることで、導入店舗以外への波及効果も期待できます。
4. 属人化から脱却し、「仕組み」で回す体制へ
本章で紹介したような設計と支援を通じて、シフト管理は「できる人がなんとかしていた業務」から、「誰でも一定の質で回せる仕組み」へと進化します。これは単なるシステム化ではありません。人が回していた業務を、仕組みが支える体制へと転換することで、店長の負担を減らしながら、現場の自律性を高めることができるのです。
タカハシ様では、この変化をきっかけに、店舗間のノウハウ共有や応援人員の配置など、より柔軟な人員戦略も可能になりました。スーパーモリナガ様でも、シフト作成にかかっていた時間を接客や教育の時間にあてられるようになり、時間が浮くだけではなく、価値ある時間に変わったという声が現場から上がっています。
導入するだけではなく、育てる視点を
ツールは導入しただけでは育ちません。大切なのは、現場が「これは便利だ」「使える」と感じ続けられる運用設計です。ツール選定の段階から、「現場が使いこなせるか?」「成果が実感できるか?」「社内に広げられる仕組みか?」という視点で設計することが、現場巻き込み型のDXを成功に導く第一歩となるのです。
第4章|まとめ|「納得→実感→拡大」の連鎖がDX成功の鍵
店舗運営の現場にDXを根付かせるためには、ツールの機能や利便性だけでなく、「人」をどう巻き込むかが問われます。特に、多店舗展開を進める中堅企業では、店舗ごとの文化や責任者のスタンスの違いがDX推進のスピードを左右します。そのなかで重要なのが、「納得 → 実感 → 拡大」という3ステップの設計です。
ステップ1|「納得」してもらう
現場の理解と納得がなければ、どれだけ優れたシステムでも活用されません。「なぜ導入するのか」「どんな課題が解決できるのか」を、感覚ではなく数字で語ることが最初の突破口になります。本記事で紹介したスーパーモリナガ様やタカハシ様のように、「月30時間→2時間」といった具体的な成果予測を示すことで、現場はやってみようと一歩を踏み出せます。
ステップ2|「実感」できる体験を提供する
納得が得られたら、次は変化を体感してもらうことが大切です。ここで重要なのがスモールスタート。いきなり全店舗に展開するのではなく、一部店舗で試験導入し、早期にポジティブな体験を積んでもらうことで、心理的な壁を取り払います。タカハシ様では、スモールスタートにより、現場の不安を1つずつ解消しながら展開店舗を拡大。現場の「便利だった」「簡単だった」という声が、他店の導入を自然と後押ししました。
ステップ3|「拡大」の仕組みを仕込む
最後は、成功体験を共有し、他店舗へ横展開する仕組みです。
- 店長会議で成果報告をする
- 社内報やイントラで事例を共有する
- エリアマネージャーが成功事例を持って現場に同行する
こうした小さな仕掛けが、「あの店も使ってるなら、うちもやってみようかな」というムードを生みます。強制ではなく、自発的な選択肢として受け入れられる状況をつくることが、DXの連鎖を生むのです。
おわりに|現場から始まる「広がるDX」へ
店舗のDXは、「トップダウンだけでも、現場任せだけでもうまくいかない」とよく言われます。だからこそ必要なのは、「現場の納得感」を設計しながら、継続的に成果を感じられる仕組みをつくることです。属人化の解消、コミュニケーションの活性化、シフト精度の向上──こうした変化は、単なる作業効率化にとどまらず、店舗全体の価値を高める改革にほかなりません。
クラウドシフト管理システム「らくしふ」は、LINE連携による希望提出、自動リマインド、作成負担を減らす自動作成機能など、現場がすぐに使いこなせる設計と、本部・店舗双方にとっての現場負担軽減を両立します。多店舗展開のスーパーやアミューズメント業界などでも、スモールスタートから全国展開まで、導入規模や業態に合わせた支援体制で定着をサポートしてきました。
本部と現場が一体となって推進する「納得型DX」──その第一歩として、「らくしふ」でシフト管理を見直してみてはいかがでしょうか。
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